電動ハンマの選び方【2025年版】
電動ハンマは、コンクリート・アスファルトなどの硬い構造物を破砕するための工具です。ブレーカーやハツリ機とも呼ばれ、建設・改修・電設・土木など幅広い現場で使われます。金属類の切断や地面の掘削、アンカー撤去など用途が広く、破砕スピードと安全性を両立したモデルが年々増えています。
選定には、作業内容と環境を踏まえて次の5つの観点を押さえることが重要です。
① 用途に適したシャンク方式を選べるか
電動ハンマは先端工具の取り付け方式が2種類あります。
・SDSマックス…多くの現場で標準化。着脱が簡単で工具も豊富
・六角シャンク(17mm/28mm)…強靭で大型破砕に強い
一般建設・内装解体 → SDSマックス
道路・外構・大規模破砕 → 六角シャンク
専用ビットの多さは効率に影響するため、保有資産と整合させるのが得策です。
② 打撃エネルギー(J:ジュール)が足りているか
破砕力=打撃エネルギー(J)×打撃数
種類と目安は以下です。
・小型:7〜15J…ブロック撤去、内装ハツリ
・中型:15〜30J…土間・外構の斫り
・大型:30J超…道路工事、厚コンクリ破砕
パワーが大きいほど効率は上がりますが、重さと振動が負担になるため、使い分けが重要です。
③ 電源方式(コード式 or 充電式)
・コード式
出力が安定し、長時間作業に強い。大型機は実質コード式が主力。
・充電式
40Vmax/36Vの高出力化で「電源確保が難しい現場」の主力に。
可搬性が高く、途中で場所を変えながら進める改修で人気が拡大。
現場での段取りに直結するため、バッテリー資産や移動頻度に合わせて選びます。
④ 振動・防護性能(疲労軽減の要)
・AVT/DRなどの低振動機構
・防振二重構造
・ソフトノーロード機構(空打ち時は振動低減)
長時間のハツリでは「疲れにくさ」が結果的に作業量へ直結します。
⑤ 重量と可搬性(脚立上や周辺干渉の多い現場)
・小型機は天井下や狭所で強い
・大型機は破砕効率が桁違い
⇒使う場面ごとに機体サイズを揃えるのが理想です
以上を踏まえて、「破砕対象」「作業姿勢」「電源環境」で最適な機種を選べば、作業スピードと安全性を高いレベルで両立できます。
おススメの電動ハンマ5選!(2025年版)
1. マキタ 電動ハンマ HM0871C(コード式)
打撃エネルギー:8.1J(EPTA)
シャンク:SDSマックス
重量:約5.4kg
小型・中出力クラスの定番。AVT(アクティブ動吸振器)とソフトノーロードで低振動で狙い通りの破砕を実現し、タイル・モルタル・ブロック・コンクリートの部分ハツリに強いです。軽めの本体でも芯のある一撃が出せるため、キッチン・浴室の改修やアンカー撤去など精度を求める作業に最適。
【現場メリット】姿勢保持がラクで長時間の上向き・横向き作業でも疲労が出にくい。ビット交換はワンタッチで段取りが速く、粉じん少なめの材料でも仕事が進みます。
【注意点/Tip】厚い土間や鉄筋量の多いRC相手は時間がかかるので、中大型機と併用が吉。スケーリング(表面はつり)から深堀りの順で進めると効率が上がります。
2. マキタ 電動ハンマ HM0830C(コード式)
打撃エネルギー:8.3J
シャンク:六角軸17mm
重量:約4.5kg
六角シャンク採用の軽量機。本体剛性が高く、外構のポイント破砕やブロック塀の部分撤去に向いています。芯ブレ感が少ないため、刃先を立てたままラインをなぞるように削れるのが魅力。消耗品コストも抑えやすく、会社備品の標準機としても扱いやすいです。
【現場メリット】軽くて振り回しやすく、脚立や狭所でも取り回しが軽快。チゼル・スケーリング刃の使い分けで、仕上がりとスピードの両立がしやすい。
【注意点/Tip】広い面積の厚いコンクリートスラブは得意ではないため、ハンドブレーカー級(30J以上)との併用が効率的です。
3. HiKOKI 電動ハンマ H41SA4(コード式)
打撃エネルギー:10.0J
シャンク:六角軸17mm
重量:約4.5kg
同クラスの中では強めの一撃と低振動のバランスが優秀。内装解体から外構の軽破砕まで守備範囲が広く、打撃数の立ち上がりが速いので作業テンポが崩れません。視界が良いため、タイルはつりやモルタル剥離など繊細なコントロールが必要な工程でも狙いを外しにくいです。
【現場メリット】壁際やコーナーでもヘッドが当たりにくく、割りたいラインに沿って丁寧に進められる。防振グリップの効きが良く、長時間使用でも体感疲労が少ない。
【注意点/Tip】鉄筋露出部では刃先角度を工夫し、刃の面取りを軽くしておくと欠けにくく刃持ちが向上します。
4. マキタ 充電式ハンマ HM001G(40Vmax)
打撃エネルギー:9.4J
シャンク:SDSマックス
重量:約7.0kg(バッテリー込)
コードレスでありながらハイパワー。40Vmaxブラシレスで、電源確保が難しい改修現場や屋外作業でも主力として運用可能。AVTとソフトノーロードにより振動・騒音・無駄打ちを軽減し、夜間工事や稼働建屋でも使いやすい。定回転制御によって素材が硬くても進みが落ちにくいのが特徴です。
【現場メリット】発電機や延長コード不要で段取りを短縮できる。水気・ホコリのある環境でも配線トラブルが起きにくい。
【注意点/Tip】バッテリーは大容量2本以上で循環。集じん機併用で粉じんを抑えると仕上げ工程が速くなり、アンカー処理もスムーズです。
5. HiKOKI 電動ハンマ H90SG(コード式・大型)
打撃エネルギー:70.0J
シャンク:六角28.5mm(専用)
重量:約32.5kg
道路や橋梁など重破砕の主役。70J級の圧倒的な打撃力で、厚い土間・基礎・アスファルトを短時間で破砕可能。重い本体を活かした縦打ちの安定が良く、深く割れて後処理が速い。大型ダストシールと高耐久ギヤで酷使にも強く、重機併用現場でも頼れる存在です。
【現場メリット】広範囲撤去で処理量が大きく向上。火花や粉じんを抑えたい場面で代替策として有効。
【注意点/Tip】搬送と設置に人員を要するため、小型機との役割分担(周縁は小型で、中心を大型で)が段取り最適化に繋がります。作業床養生と防護具は必須。
選定のワンポイント(比較早見)
・部分はつりや改修 → HM0871C / HM0830C / H41SA4(軽量・低振動)
・電源確保が難しい → HM001G(40Vmax・コードレス)
・土間や道路の重破砕 → H90SG(30J超の大型)
・SDSマックス中心 → HM0871C / HM001G(ビット資産共用しやすい)
・六角でタフ運用 → HM0830C / H41SA4 / H90SG(剛性重視)










